狭心症と心筋梗塞の違い
冠動脈は心臓の筋肉へ酸素と栄養を届ける血管です。動脈硬化などで血管が狭くなると、運動時などに必要な血流が足りなくなり、胸の症状が起こります。狭心症では血流不足が一時的なことが多い一方、血管が詰まって心筋の障害が進む心筋梗塞では、迅速な治療が必要です。
胸痛が長引く、安静時にも起こる、以前より軽い動作で出る、回数が増えている場合には注意が必要です。突然の強い胸痛、冷汗、吐き気、息苦しさを伴うときは、自分で運転せず119番などで救急対応を求めてください。痛みが短いから安全、若いから心臓ではない、と決めつけないようにしましょう。
血管が細くなる原因は一つではありません
動脈硬化による狭窄のほか、冠動脈が一時的に強く収縮する冠攣縮や、細い血管の機能の問題が関係することがあります。冠攣縮による症状は、夜間や早朝など安静時に現れることもあります。症状が起こる時刻や行動を記録することが、原因を考える手がかりになります。
高血圧、糖尿病、脂質異常症、喫煙、家族歴なども確認します。見た目の体格や健診の一項目だけでは、冠動脈の状態を十分に判断できません。生活習慣だけを責めるのではなく、体質や年齢、持病を含めて、変えられるリスクを一つずつ整えていきます。
診察で伺うこと
症状の場所、持続時間、頻度、歩行や食事との関係、休むと改善するか、冷汗や吐き気の有無などを確認します。指一本で示せるのか、広い範囲で重く感じるのかも参考になります。ただし、症状の特徴だけで確定診断はできません。糖尿病のある方や高齢の方では、典型的な胸痛が目立たないこともあります。
胸の痛みは、胃食道逆流、筋肉や骨、肺や血管の病気でも起こります。「以前、胃のせいと言われた」という場合も、症状の変化があれば改めて評価が必要です。市販薬で一時的に軽くなっても、危険な原因が否定できたことにはなりません。
心電図が正常でも、評価を続けることがあります
安静時の心電図、血液検査、心エコーなどを、症状と緊急性に合わせて選びます。症状がない時間の心電図が正常でも、狭心症を完全に否定できるわけではありません。必要に応じて専門施設で運動負荷検査、冠動脈CT、心筋血流の検査、カテーテル検査などを検討します。
一般の胸部CTと、心臓の血管を詳しく調べる冠動脈CTは同じ検査ではありません。検査の目的、造影剤の使用、腎機能、薬剤アレルギーなどを確認して選択します。当院で行う検査と紹介先で行う検査は、診察時にご案内します。
治療の二つの目的
治療では、胸の症状を軽くすることと、心筋梗塞などの将来の危険を減らすことを考えます。血管の状態や原因に応じて薬を選び、血圧、脂質、血糖、喫煙なども管理します。動脈硬化による病気と冠攣縮では、薬の使い方が異なる場合があります。
カテーテルで血管を広げる治療やバイパス手術が必要な場合は、専門施設で検討します。すべての狭心症に同じ治療が必要なわけではありません。治療後も血管の病気が起こりやすい背景への対策は続きます。特にステント治療後の薬は重要な役割があるため、歯科治療や手術の前も自己判断で中止しないでください。
毎日の生活で確認すること
禁煙は大切な対策です。食事は脂質や塩分の取りすぎを見直し、無理な制限より続けられる方法を考えます。運動は病状が安定していることを確認してから、医師と負荷を相談しましょう。胸痛が出るまで頑張ることや、症状を確かめるために階段を急いで上ることは避けてください。
発作時の薬を処方されている場合は、使う場面と救急要請の目安を事前に確認します。他の薬との併用に注意が必要なものもあります。お薬手帳には市販薬やサプリメントも含め、医療機関が変わっても情報を共有できるようにしましょう。
受診の流れと、その後の通院
まず症状と緊急性を確認し、必要な診察・検査を行います。その結果をもとに薬物療法や生活管理、専門施設での検査の必要性を相談します。紹介後は検査結果や治療内容を共有し、日常の通院へつなげます。受診時には、症状が起きた日時と状況、健診結果、過去の心臓の治療歴をお伝えください。
診察で一緒に確認したいこと
診察で聞きたいことは、短いメモにしておくと伝えやすくなります。薬の名前が分からない場合も、お薬手帳や実物の写真が役立ちます。他の医療機関の薬や市販薬、サプリメントを含めて知らせてください。飲み忘れや副作用が気になるときは、自己判断でまとめて服用したり中止したりせず、相談しながら使い方を調整します。ご家族が気づいた呼吸や活動量の変化も、本人の症状と同じくらい大切な情報になります。検査だけでは見えにくい日常の困りごとも遠慮なくお話しください。
糖尿病のある方や高齢の方では、典型的な胸の痛みが目立たず、息切れや吐き気、だるさが中心になる場合もあります。「痛くないから心臓ではない」と決めつけないことが大切です。症状が急に出た、いつもより強い、安静にしても続く場合は救急対応を検討してください。
よくある質問
胸が痛くないなら狭心症ではありませんか?
息切れ、疲れやすさ、みぞおちの不快感などで現れる場合もあります。新しく起きた症状や、繰り返す違和感は診察で確認してください。
薬を飲めば普段どおり運動できますか?
運動の範囲は、血管の状態と症状の安定度で変わります。治療開始直後や症状が変化したときは、自己判断で強度を上げず相談してください。
Your Visit
診察・検査の流れ
- 01
症状を伺う
息切れ・胸痛・動悸の出方や、これまでの病気・服薬を確認します。
- 02
必要な検査
診察の結果に応じて、心電図・採血・心エコーなどを検討します。
- 03
結果と方針を共有
原因や重症度を整理し、薬や生活の工夫、専門施設への紹介を相談します。
- 04
変化を確認
症状と検査値の変化を見ながら、無理なく続けられる治療へ調整します。





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