心房細動
心房細動とは、心臓の上部にある心房という部分が不規則に高速で動く不整脈の一種です。心房細動になると、心臓のポンプ機能が低下し、血液の流れが悪くなります。その結果、動悸や息切れ、めまい、疲労感などの症状が現れることがあります。また、心房内に血栓ができて脳や他の臓器に詰まると、脳梗塞や全身の塞栓症などの重大な合併症を引き起こす可能性があります。
原因
心房細動の原因は、さまざまな要因が関係しています。一般的には、高血圧や糖尿病、高脂血症などの生活習慣病や、冠動脈疾患や弁膜症などの心臓病が心房細動のリスクを高めます。また、加齢や遺伝的な素因も影響すると考えられています。
心房細動の原因の中でも、近年注目されているのが睡眠時無呼吸症候群(OSA)です。OSAとは、睡眠中に上気道が閉塞して呼吸が止まることを繰り返す病気です。OSAは、夜間の低酸素や血圧変動などによって心臓に負担をかけ、心房細動を誘発する可能性があります。OSAは、肥満や加齢、喫煙などが危険因子となります。
治療
心房細動の治療は、主に以下の3つの目的に分けられます。
心拍数コントロール
リズムコントロール
血栓予防
心拍数コントロールでは、β遮断薬などを用いて脈が速くなりすぎないよう調整します。リズムコントロールでは、抗不整脈薬や電気的除細動などで正常な脈を保つことを目指します。持病や心臓の働きに合わせて選択し、カテーテルアブレーションを検討することもあります。
カテーテルアブレーションは、細い管を心臓まで進め、不整脈に関わる電気の伝わり方を調整する治療です。症状や心臓の状態、本人の希望などを踏まえて専門施設で検討します。薬が効かなかった場合だけに限る治療ではありません。
心房細動では、脳梗塞のリスクを評価し、必要に応じて抗凝固薬を使います。薬の必要性や種類は、年齢、持病、腎機能、出血のリスクなどを考えて決めます。脈が正常に戻っても自己判断で中止しないでください。
症状がなくても、脳梗塞の予防を考えます
心房細動による脳梗塞のリスクは、動悸の強さや発作を自覚した回数だけでは決まりません。年齢、高血圧、糖尿病、心不全、脳梗塞の経験などを評価し、血栓を防ぐ抗凝固薬の必要性を考えます。同時に、出血、腎機能、体重、併用薬などを確認して薬を選びます。
脈が落ち着いた、症状がなくなった、カテーテル治療を受けたという理由だけで、抗凝固薬を自己判断で中止してはいけません。継続の必要性は脳梗塞の危険因子などに応じて判断します。薬の種類と飲み忘れたときの対応を確認し、歯科処置や手術の前にも担当医へ知らせてください。
出血の兆候と、救急受診の目安
抗凝固薬を服用中は、血尿、黒い便、止まりにくい出血などがあれば相談します。転倒して頭を強く打った場合も、その時点で軽い症状に見えても医療機関へ連絡してください。市販の鎮痛薬やサプリメントなどが出血リスクや薬の作用に影響する場合があるため、追加する前に確認します。
急に片側の手足が動かしにくい、顔がゆがむ、言葉が出にくいなどの症状が出た場合は、脳卒中の可能性があります。症状がすぐ消えた場合でも放置せず、救急対応が必要です。強い胸痛、失神、安静でも強い息苦しさがある場合も、通常の予約を待たないでください。
記録と生活管理が、治療の相談に役立ちます
動悸の始まった時刻、続いた時間、脈拍、運動や飲酒との関係を記録しましょう。スマートウォッチの通知や記録は手がかりになりますが、それだけで心房細動の診断が確定するとは限りません。心電図などで確認します。
血圧、糖尿病、体重、飲酒、喫煙、睡眠時無呼吸などの管理も重要です。運動量は体調に合わせて担当医と相談します。脈拍を整える治療と、脳梗塞を予防する治療は目的が異なるため、ご自身の薬が何のための薬か確認すると、継続しやすくなります。
検査
心房細動の診断は、主に心電図やホルター心電図などで行われます。心電図は、心臓の電気的な活動を記録する検査です。ホルター心電図は、24時間以上にわたって心電図を測定する検査です。これらの検査で、心房細動の有無や頻度や持続時間などを判定します。
また、心房細動の原因や合併症を調べるために、以下のような検査も行われることがあります。
心臓エコー検査
胸部レントゲン
血液検査
睡眠時無呼吸症候群(OSA)の検査
当院では
当院では、循環器専門医が心房細動の診療に対応しています。睡眠時無呼吸症候群を併せ持つ方もいるため、いびきや眠気などの症状に応じて検査を検討します。
睡眠時無呼吸症候群は、症状に応じて簡易検査や精密PSG検査で評価します。精密PSGでは、脳波、呼吸、心電図、酸素飽和度などを記録します。当院では、ご自宅で行う出張精密PSG検査にも対応しています。
睡眠時無呼吸症候群を合併している場合は、検査結果や症状に応じてCPAP療法などを検討します。CPAPはマスクから空気の圧力を送り、睡眠中の気道を保つ治療です。心房細動の再発予防効果には不確実な点もあり、CPAPだけで心房細動の治療に代えることはできません。
カテーテルアブレーションが適していると考えられる場合は、対応する専門施設へ紹介します。症状の改善や再発の抑制を目指す治療ですが、再発や合併症の可能性もあります。心臓の状態や治療への希望を踏まえ、期待できる効果とリスクについて専門医と相談します。
当院では、心房細動の診療とともに、高血圧や糖尿病、睡眠時無呼吸症候群などの確認も行います。専門的な治療が必要な場合は、対応する医療機関と連携します。動悸や脈の乱れが気になる方はご相談ください。





イメージ写真