Irritable Bowel Syndrome

過敏性腸症候群(IBS)

お腹の痛みと便通の変化を、生活の中から整える。

腹痛とともに下痢や便秘が繰り返され、通勤や外出が心配になることはありませんか。過敏性腸症候群は、腸の動きや感じ方、脳と腸の情報のやり取りが関係する病気です。「気のせい」と片づけず、ほかの病気が隠れていないかを確認しながら、自分に合う対策を考えます。

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大腸の通り道を表すシンプルな概念図
位置や仕組みの理解を助ける概念図です。

過敏性腸症候群とは

過敏性腸症候群(IBS)は、腹痛と排便の変化が繰り返される病気です。検査で炎症や腫瘍などの異常が見つからなくても、腸の運動や刺激への敏感さが変化して、生活に支障を来すことがあります。検査が正常だから症状がない、という意味ではありません。

腸と脳は神経やホルモンなどを通して影響し合っています。食事、睡眠、感染性胃腸炎の既往、ストレスなど、複数の要因が関係します。ストレスだけが原因とは限らず、ご本人の性格や努力の問題でもありません。症状が起こる場面を整理することが、治療の手がかりになります。

下痢型・便秘型・混合型があります

下痢型では、軟らかい便や水のような便、急な便意が目立ちます。朝の通勤前や食後に何度もトイレへ行きたくなり、外出先のトイレが気になる方もいます。便秘型では、硬い便、強くいきむ、残便感などを伴い、腹痛や張りが続きます。

下痢と便秘を行き来する混合型もあります。同じ方でも時期によって便の状態が変わるため、以前効いた薬が今の状態に合うとは限りません。腹痛が排便と関係するか、便の回数や形が変わったかを一緒に確認します。痛みを伴わない下痢や便秘は別の病態である場合もあり、自己判断でIBSと決めつけないことが大切です。

まず確認したい、別の病気のサイン

血便や黒い便、発熱、意図しない体重減少、貧血、夜中に目が覚めるほどの下痢、次第に強くなる痛みがある場合は、IBS以外の病気を考える必要があります。中高年になって初めて便通が変わった場合や、大腸がん・炎症性腸疾患の家族歴がある場合もお知らせください。

潰瘍性大腸炎やクローン病、大腸がん、感染症、薬の影響、甲状腺の病気などでも似た症状が起こります。強い腹痛が続く、血便が多い、ぐったりして水分が取れないときは、通常の予約日まで待たずに受診してください。急な悪化を、いつものIBSだと思い込まないことが重要です。

診察と検査の進め方

いつから、どの場所が痛むか、排便でどう変わるか、便の形や回数、夜間の症状、体重の変化などを伺います。市販薬、サプリメント、食生活、これまでの検査結果も診断の参考になります。数日から1〜2週間程度、食事・便の状態・痛みの記録をつけると説明しやすくなります。

年齢や症状に応じて採血、便検査、大腸カメラなどを検討します。すべての方に同じ検査を行うわけではありません。大腸カメラは、粘膜の炎症やポリープ、腫瘍などを確認するための検査です。異常がないことを確かめた後も、症状と生活への影響を評価し、治療を調整します。

食事・睡眠・生活リズムを整える

まずは食事の時間をある程度そろえ、急いで食べすぎないことから始めます。脂肪の多い食事、飲酒、カフェイン、冷たい飲み物などが刺激になる方もいますが、きっかけは人によって異なります。むやみに多くの食品を避けると、栄養の偏りや食事への不安につながるため、記録を参考に必要な調整を行います。

発酵しやすい糖質を調整する低FODMAP食が役立つ場合もあります。ただし、長期間の自己流の厳しい制限は勧められません。試す場合は医師や管理栄養士などに相談し、期間と再導入の方法を考えます。便秘がある方では食物繊維の種類や量、水分、運動を調整しますが、急に繊維を増やすと張りが強くなることもあります。

睡眠不足を減らし、無理のない散歩や体操を続け、トイレを我慢しすぎないことも大切です。外出時の不安が強い場合は、予備の時間を確保するなど、生活上の困りごとを具体的に相談してください。

症状に合わせた薬物治療

便の状態、腹痛、張りなどに応じて、腸の動きを整える薬、便の水分量を調整する薬、便秘薬、下痢に対する薬などを使い分けます。下痢型と便秘型では治療が異なります。強い便秘や腹痛が出た場合は、薬を増やし続けずに相談してください。

腸の知覚過敏や不安が強く関係している場合は、それらに働きかける治療を検討することもあります。心理療法が役立つ方もおられますが、症状が精神的なものだけだという意味ではありません。必要に応じて専門の医療機関と連携します。治療の目標は、便の回数だけでなく、通勤や食事、外出などの困りごとを減らすことです。

当院でのご相談

当院では消化器内科で経過と症状を整理し、必要に応じて採血や内視鏡などの検査を検討します。内視鏡検査には準備と予約が必要な場合がありますので、受診時にご案内します。すでに検査を受けた方は、結果の用紙やお薬手帳をご持参ください。

治療後も便通が変化したときは、生活の変化や薬の影響を含めて見直します。症状が続く場合や別の病気が疑われる場合は、診断を再評価し、必要に応じて専門施設へご紹介します。

よくあるご質問

IBSは大腸がんになりますか?

IBSそのものが大腸がんに変わるわけではありません。ただし、IBSのある方にも別の病気が起こることはあります。新しい血便や体重減少などは改めて評価が必要です。

検査が正常なら、受診しなくてよいですか?

痛みや便通のために生活に支障があれば相談できます。異常が見つからなかった検査の内容と時期も確認し、症状を軽くする方法を一緒に考えます。

下痢止めを毎日飲んでもよいですか?

下痢の原因と薬の種類によって異なります。感染症や血便、強い痛みがあるときに自己判断で下痢を止めることは避け、使用中の薬を医師にお知らせください。

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診察・検査の流れ

  1. 01

    症状・結果を確認

    症状の経過、健診や内視鏡の結果、内服薬とアレルギーを確認します。

  2. 02

    必要な検査を相談

    検査の目的と準備をご説明し、適切な方法と日程を決めます。

  3. 03

    結果と治療を説明

    検査結果をもとに治療を選び、必要に応じて専門施設と連携します。

  4. 04

    次の確認へ

    症状の変化と薬の効果を確認し、経過観察や再検査の予定を決めます。

このページの参考情報

内容確認:2026年10月。治療・検査は診察で個別に判断します。

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