サルコペニアとは?
サルコペニアは、筋肉の量が減り、筋力も低下した状態です。年齢を重ねることに加え、運動不足、食事量の減少、病気なども関係します。
体重が変わらなくても筋肉が減っていることがあるため、体重だけでは判断できません。「年のせい」と決めつけず、気になる変化があればご相談ください。
入院や手術のあと、外出や食事が減ったときにも、筋肉や毎日の動きを確認します。急な体重減少、食欲低下、むくみがあるときは、その原因も調べます。
どうやって調べるの?
① 筋肉の量を調べます
InBodyで体の成分を測定し、骨格筋指数(SMI)で筋肉量を評価します。SMIは、両腕・両脚の筋肉量を、身長に合わせて計算した数値です。
② 筋肉の力を調べます
握力計で、手を握る力を測ります。筋肉の量と握力の両方が低下しているかを確認して診断します。InBodyの数値だけで診断するわけではありません。
③ 毎日の動きも確認します
歩く速さや椅子からの立ち上がりを確認し、生活で困っていることやリハビリの効果を評価します。
むくみや脱水で測定値が変わることがあります。経過を見るときは、できるだけ測定の条件をそろえます。使用している医療機器や測定前の注意事項は、スタッフにご確認ください。
診断に用いる数値の目安
AWGS2025では、筋肉の量と力の両方を確認して診断します。低握力だけでも相談や対策のきっかけになりますが、確定診断とは区別します。[1]
表は横にスクロールできます。
| 項目 | 65歳以上 | 65歳以上 | 50~64歳 | 50~64歳 |
|---|---|---|---|---|
| 握力の低下 | 28kg未満 | 18kg未満 | 34kg未満 | 20kg未満 |
| BIAの低筋肉量(骨格筋指数:SMI) | 7.0kg/m²未満 | 5.7kg/m²未満 | 7.6kg/m²未満 | 5.7kg/m²未満 |
筋肉量の基準に使うのは、四肢骨格筋量(両腕・両脚の筋肉量)を身長で補正した数値です。
骨格筋指数(SMI)=両腕・両脚の骨格筋量(kg)÷身長(m)の2乗です。InBodyで測定する全身の総筋肉量kgや別の指数へ、そのまま当てはめません。
5回立ち上がりテスト
椅子に座った姿勢から、原則として腕で支えず立ち上がる動作を5回行い、所要時間を測ります。AWGS2019では12秒以上が身体機能低下の目安です。[2] 最新AWGS2025では65歳以上12秒以上、50~64歳10秒以上を機能評価の目安とし、単独の診断条件にはしません。[1] 痛みや転倒の不安がある方は無理に自宅で試さず、医療者に相談してください。できない場合も重要な情報です。
ふくらはぎの太さで気づく
ふくらはぎの最も太い部分の周囲をメジャーで測ります。男性34cm未満、女性33cm未満は詳しい評価を考えるスクリーニングの目安です。[2] 細いだけでサルコペニアと診断するものではありません。むくみや脂肪、体格も影響するため、太さが保たれていても筋力低下があれば相談しましょう。
こんな変化があればご相談ください
- 椅子から立つ、階段を上るなどの動作がつらくなった
- 歩くのが遅くなった、転びやすくなった
- 体重は変わらないのに、筋肉が減ったように感じる
- 持病があり、筋力や体力の低下が気になる
- 一人での生活や外出に不安がある
筋肉の衰えが暮らしに与える影響
筋力が低下すると、立つ、歩く、買い物に出るなどの動作が難しくなることがあります。転倒や骨折との関連も報告されています。[3] 動くことが不安になり、活動が減ると、さらに体力が落ちることがあります。
持病の状態や、外出・人との交流の変化も一緒に確認します。サルコペニアと認知機能の低下には関連が報告されていますが、筋肉量だけが認知症の原因という意味ではありません。
サルコペニアは死亡などの不良な健康転帰とも関連しますが、必ずそうなるという意味ではありません。入院や施設入所との関連については、現時点では十分に確定した証拠が得られていません。[3]
転倒、歩く速さ、体重や食事の変化を早めに相談し、持病の管理、運動、食事、生活環境を見直します。
当院の診療の流れ
STEP01
筋肉の量と力、生活の動きを確認
InBodyと握力の測定に加え、歩く様子や病歴、食事の状況を伺います。
STEP02
持病や転倒のリスクを確認
持病の状態や転倒しやすさを確認し、必要な治療や対策を考えます。
STEP03
必要な支援につなぎます
必要に応じて介護認定の手続きをサポートし、ケアプランセンターかけはしと連携して、生活に合うケアプランを考えます。
STEP04
STEP05
電話予約制
診察を希望される方は、必ずお電話にてご予約ください。
運動と食事で、動きやすい体づくり
筋肉の状態に合わせた運動と、必要な栄養をとることが大切です。デイケア「はばたき」では、理学療法士が体調や動きを確認し、バイオサーキットなどの機器も活用して、一人ひとりに合った運動を支援します。
バイオサーキットは、複数のマシンを使い、その方に合う負荷で体を動かすトレーニングシステムです。「立つ」「歩く」といった日常の動作を保ち、改善を目指します。
食事は、たんぱく質だけでなく、食事全体の量とバランスも大切です。持病や食欲に合わせて管理栄養士と相談します。腎臓の病気などで食事制限がある方は、自己判断でたんぱく質を増やさずご相談ください。
安全に、続けやすい方法で
転倒の不安や痛みがある方は、無理に自己流で運動せず、専門職に姿勢や支え方を確認しましょう。胸の痛み、強い息切れ、めまいが出たときは中断します。持病や手術後の制限に合わせ、運動の種類と強さを調整します。
食べにくさ、むせ、歯や入れ歯の不具合、食事を用意する負担もご相談ください。サプリメントだけに頼らず、持病と食事全体を踏まえて考えます。
転倒には、視力やふらつき、履物、薬、家の段差なども関係します。照明や手すりなどの住環境も見直します。筋肉だけでなく、気持ちや人とのつながりも含め、ご本人が続けられる支援を考えます。サルコペニアとフレイルは重なることがありますが、同じ意味ではありません。
デイケアはばたきの利用案内をご確認ください。利用条件や支援の内容は、状態に合わせて相談します。







イメージ写真