Helicobacter Pylori

ピロリ菌感染症・除菌治療

菌が消えたことの確認と、その後の胃の観察まで。

ピロリ菌(Helicobacter pylori/H. pylori)は胃の粘膜に感染し、長く炎症を起こす細菌です。健診で陽性といわれた方、胃カメラで萎縮性胃炎を指摘された方、除菌したまま結果を確認していない方はご相談ください。当院では消化器内視鏡専門医による診療につなぎ、胃の状態と感染の有無を確認して、除菌治療から治療後の判定、内視鏡による経過観察までご案内します。

消化器内科の受診案内 →
食道・胃の位置を表すシンプルな概念図
位置や仕組みの理解を助ける概念図です。

ピロリ菌は、症状がなくても胃に影響します

ピロリ菌は胃の表面を覆う粘液の中に住みつきます。感染は主に幼少期に成立し、治療しないまま成人まで続くことがあります。胃には強い酸がありますが、菌は周囲の環境を変えながら生息します。感染していても胃痛や胃もたれを感じない方は少なくありません。「痛くないから感染していない」「食欲があるから問題ない」と症状だけで判断することはできません。

炎症が長く続くと、胃の粘膜が薄くなる萎縮性胃炎や、粘膜の性質が変わる腸上皮化生を伴う場合があります。ピロリ菌は胃・十二指腸潰瘍、胃がん、一部の胃のリンパ腫などとの関連が知られています。ただし、感染している方全員ががんになるわけではなく、陽性という結果だけでがんと判断するものでもありません。現在の感染と胃粘膜の状態を分けて確認することが大切です。

検査を相談したい方・持参していただきたい情報

健診の抗体検査が陽性だった方、内視鏡で胃炎や潰瘍を指摘された方、ご家族の感染をきっかけに心配になった方は、検査結果をお持ちください。いつ、どの方法で調べたか、過去に除菌したことがあるかを確認します。「以前薬を飲んだ」という場合も、薬の名前や服用時期、その後の判定結果が分かる資料が役立ちます。

胃酸を抑える薬、抗菌薬、市販の胃薬を含めた服薬情報も必要です。薬の影響で、菌がいるのに検査が陰性になることがあります。ペニシリンなどの薬剤アレルギー、妊娠・授乳、腎臓や肝臓の病気、他の医療機関での治療についてもお伝えください。感染者と同じ家にいることだけで、ご家族全員に同じ薬を処方するものではありません。ご本人ごとに検査と治療の必要性を判断します。

胃カメラとピロリ菌検査は、調べる目的が違います

胃カメラは胃炎、潰瘍、ポリープ、がんを疑う変化などを観察し、必要に応じて組織を調べる検査です。一方、ピロリ菌の検査は感染の有無を調べます。胃の見た目から感染を疑うことはできますが、内視鏡の印象だけで確定せず、検査結果や除菌歴を合わせて評価します。すでに内視鏡を受けた方は報告書をご持参ください。

尿素呼気試験は、検査薬を飲む前後の息を採取し、菌の働きによる変化を調べます。便中抗原検査は便の中に含まれる菌の成分を調べ、現在の感染や除菌判定に用いられます。血液などの抗体検査は体の免疫反応を見ますが、除菌後もしばらく陽性が続くことがあるため、現在の感染と過去の感染をそれだけで区別できない場合があります。

内視鏡で採った組織を使う迅速ウレアーゼ試験、病理検査、培養などの方法もあります。すべてを一度に行うわけではありません。検査の目的、胃粘膜の状態、服用薬、以前の結果を踏まえて方法を選びます。結果と内視鏡所見が合わない場合には、一つの陰性結果だけで終えず、検査時期や方法を見直すことがあります。

保険診療と、治療を始める前の確認

ピロリ菌感染胃炎に対する保険診療では、内視鏡によって胃炎が確認されていることなどの条件があります。胃・十二指腸潰瘍など、ほかの適応疾患もあります。健診の抗体陽性という情報だけで直ちに薬を開始するのではなく、感染の確認、内視鏡歴、保険の適用条件を整理してご案内します。

費用や受診回数は、必要な検査、自己負担割合、病状で変わります。「検査は一律に自費」「希望すればすべて保険」とは限りません。治療前に検査の目的と費用区分を確認します。小児では成人と検査・治療の考え方が異なるため、このページの成人向けの説明をそのまま当てはめず、小児科でご相談ください。

一次除菌:胃酸を抑える薬と抗菌薬を組み合わせます

国内の一般的な成人の一次除菌では、胃酸を抑える薬と、アモキシシリン・クラリスロマイシンの2種類の抗菌薬を組み合わせ、通常は1日2回、7日間内服します。胃酸を抑える薬にはP-CABやPPIなどがあります。薬剤の選択はアレルギー、併用薬、これまでの抗菌薬使用歴などを確認して決めます。ここに書かれた組合せを自己判断で用意して飲む治療ではありません。

症状がなくても、処方された日数と回数を守ることが重要です。飲み忘れたときは、薬剤師や医療機関の指示に従い、2回分をまとめて飲まないでください。生活時間に合わせて服用の予定を立て、開始時に除菌判定の予約時期まで確認しておくと、治療が途中で終わることを防げます。残った抗菌薬を家族に渡したり、別の症状のために使ったりしないようにしてください。

副作用と、治療中に連絡していただきたい症状

軟便・下痢、味の変化、吐き気、腹部の不快感などが起こる場合があります。軽い症状でもつらいときは連絡してください。自己判断で服用量を減らしたり、長期間中断してから残りを再開したりせず、続け方を相談します。飲み合わせに注意する薬もあるため、他院の薬や健康食品を含め、開始前に一覧を確認します。

じんましんに加えて息苦しさや顔・唇の腫れが出た場合、強い腹痛を伴う下痢、血便、広がる発疹などがある場合は、次の服用をせず速やかに医療機関へ連絡してください。呼吸困難や意識の変化があるときは119番などの救急対応が必要です。「7日間必ず飲み切る」という説明は、重い副作用を我慢して続けるという意味ではありません。

二次除菌・除菌がうまくいかなかった場合

除菌の成否には、菌が抗菌薬に抵抗性を持つことなどが関係します。一次除菌に失敗した場合、一般的な二次除菌ではクラリスロマイシンをメトロニダゾールに変更する方法が用いられます。通常は7日間ですが、処方された内容を個別に確認します。メトロニダゾールを含む治療中は飲酒を避け、治療終了後の再開時期も医師・薬剤師の指示に従ってください。

二次除菌でも菌が残る場合やペニシリンアレルギーがある場合は、同じ薬を漫然と繰り返しません。感染が残っているかを改めて確認し、薬剤感受性を調べる検査や専門施設での治療を検討します。三次除菌以降や通常と異なる処方は、保険適用・費用も含めて確認が必要です。受診時には、これまで使った除菌薬と判定結果をお持ちください。

除菌判定:飲み終えて4週間以上あけて確認します

症状が軽くなったことや、薬をすべて飲めたことだけでは、除菌成功とはいえません。除菌薬の内服終了から4週間以上あけ、尿素呼気試験や便中抗原検査などで確認します。直後の検査では正しく判定できない場合があるため、指定された時期に受けてください。血液の抗体がすぐ陰性になるかどうかで、治療直後の成否を判断することは適切ではありません。

PPIやP-CABなどの胃酸を抑える薬は検査結果に影響することがあり、一般に2週間程度の休薬を検討します。ただし、検査方法や使用薬、出血リスクなどで対応は異なります。抗菌薬の使用歴も確認します。薬を自分で止めず、検査を予約した際に「どの薬を、いつから調整するか」を必ず相談してください。判定がはっきりしない場合は、再検査や別の方法を検討します。

除菌成功後も、胃カメラによる経過観察が大切です

除菌によって胃がんや潰瘍のリスクを下げることが期待できますが、リスクはゼロになりません。日本の研究では、除菌成功後の2,737人を平均7.1年追跡し、胃がんの年間発生率は0.35%と報告されています。男性や消化性潰瘍の患者さんが多い研究であり、個人の確率を示す数字ではありません。萎縮の程度による違いは「萎縮性胃炎」のページで説明しています。

当院では、萎縮性胃炎のある方に、除菌後も原則として年1回の胃カメラをおすすめしています。症状がなくても、除菌判定の後に次回の検査予定を確認しましょう。前回の所見や胃がんの治療歴によっては、より短い間隔で確認します。年齢・全身状態や検査の負担も考え、日程は担当医と決めます。「除菌したので今後は検査不要」と自己判断しないことが大切です。

除菌後に胃もたれや胸やけが続く場合は、菌が残っていると決めつけず、逆流性食道炎や機能性ディスペプシアなども含めて評価します。吐血、黒い便、食事が通りにくい、体重減少、貧血などの変化があれば、次の定期検査を待たずに受診してください。治療内容と判定結果を保存しておくと、転居や転院の際にも診療を引き継ぎやすくなります。

よくある質問

ヨーグルトや市販の食品だけで除菌できますか?

食品を食べることと、医療として菌が消えたことを確認する除菌治療は別です。食品やサプリメントだけで治療を置き換えず、検査で感染を確認し、必要な薬と判定検査を相談してください。

陽性ならすぐ胃がんということですか?

いいえ。感染の検査は胃がんの診断ではありません。ただし感染と胃の病変を別々に評価する必要があるため、内視鏡歴や症状を確認します。がんを疑う所見があれば、その精密検査を優先します。

家族も除菌したほうがよいですか?

家族歴は相談のきっかけになりますが、本人の感染の有無や年齢、胃の状態で判断します。薬を共有せず、それぞれ受診して検査の必要性を確認してください。

Your Visit

診察・検査の流れ

  1. 01

    感染と胃の状態を確認

    内視鏡の結果、感染検査、過去の除菌歴、アレルギーと内服薬を確認します。

  2. 02

    処方に沿って除菌

    通常は複数の薬を7日間服用します。飲み方と副作用時の連絡方法を確認します。

  3. 03

    治療後に除菌判定

    抗菌薬の終了から4週間以上あけ、服薬の影響を調整して感染が残っていないか確認します。

  4. 04

    胃の経過を観察

    萎縮性胃炎のある方は原則年1回の胃カメラを。担当医と次回の日程を確認します。

このページの参考情報

内容確認:2026年10月。治療・検査は診察で個別に判断します。

相談スペースのイメージ写真イメージ写真

Here For You

気になることを、
相談できる場所に。

受診する科に迷うときも、まずはご相談ください。診療時間や担当医を確認して、ご都合に合わせてご予約いただけます。

院内写真の拡大

チャットを読み込んでいます…