Diabetes

糖尿病

数値の先にある、毎日の暮らしを大切に。

糖尿病は、血液中のブドウ糖が高い状態が続く病気です。初めのうちは症状が少ないこともあり、健診で初めて指摘される方もいます。治療の目的は、血糖値を下げることだけではありません。目、腎臓、神経、心臓や血管の健康を保ち、仕事や家事、趣味を続けられるようにすることです。生活の事情や体調に合う方法を、一緒に考えていきます。

糖尿病内科の受診案内
血糖とインスリン
インスリンが働くと血管内のブドウ糖が細胞に取り込まれます。働きが不十分だと取り込まれにくく、血管内に糖が残りやすくなります。上下を比べた模式図。インスリンが十分に働くと働きが不十分なとき血管血管細胞細胞
ブドウ糖
インスリンは、糖を細胞に取り込む働きを助けます。仕組みを簡略化した図です。点の数は血糖値を表していません。

図の参考:糖尿病情報センター「糖尿病とは」

インスリンと血糖の関係

食事から取り入れた糖は、体を動かすエネルギーになります。膵臓から分泌されるインスリンは、糖を細胞に取り込ませる働きなどを持っています。このホルモンの分泌が不足したり、働きにくくなったりすると、血液中に糖が多く残ります。

1型糖尿病では、主に免疫の異常などでインスリンを作る細胞が障害されます。2型糖尿病では、体質、加齢、生活環境などが重なり、分泌の不足と効きにくさが関係します。太っていない方にも起こり、本人の努力不足だけで説明できる病気ではありません。妊娠や他の病気、薬に関連する糖代謝異常もあります。

健診で指摘されたら、症状がなくても相談を

のどが渇く、尿が多い、疲れやすい、体重が減るなどが高血糖のサインになることがあります。ただし、こうした症状がなくても確認は必要です。健診結果には血糖値、HbA1c、採血が空腹時だったかなどの情報があるため、結果の用紙をそのままお持ちください。

血糖値はその時点の状態、HbA1cは過去1〜2か月程度の血糖の状態を反映する指標です。HbA1cは貧血などの影響も受けるため、単独の数字だけで判断しない場合があります。診断には必要に応じて再検査や他の検査を行い、糖尿病の種類と重症度を確認します。

目標は、一人ひとり違います

血糖管理の目標は、年齢、治療内容、低血糖の起こりやすさ、腎機能、他の病気、生活状況などで変わります。「誰でも同じ数値まで下げる」ことが最善とは限りません。治療の利益と、低血糖や食事制限などの負担を合わせて考えます。

仕事で食事の時間が不規則、介護があり運動の時間を取りにくい、食欲が落ちているなどの事情も遠慮なくお伝えください。続けにくい計画を頑張り続けるより、できる方法に調整することが長期の管理につながります。次回までに取り組む内容を、具体的に決めておくと振り返りやすくなります。

食事と運動を、極端に変えすぎない

食事は主食をすべて抜く、好きな食品を一切食べないといった方法に限りません。食事の量や組合せ、間食、甘い飲み物、食べる時間を整理し、栄養の不足にも気を配ります。腎臓の病気などがある場合は、一般的な糖尿病食の考え方だけでは対応できないことがあります。

運動は体調と合併症に合わせて行います。短い歩行や座りっぱなしを減らす工夫から始める方法もあります。強い高血糖、低血糖を起こしやすい治療、心臓や目、足の病気がある場合には、開始前に相談してください。運動をするときの薬、食事、補食の扱いも確認しましょう。

薬は、血糖以外の状態も見て選びます

飲み薬や注射薬にはさまざまな種類があります。血糖を下げる仕組みだけでなく、心臓や腎臓の状態、体重、低血糖の危険、費用、使いやすさなどを踏まえて選びます。インスリンを使うことは、治療の失敗や努力不足を意味しません。必要なホルモンを補う治療です。

薬を始めた後には効果と副作用を確認します。食事が取れない、嘔吐や下痢がある、体調が大きく変わったときは、普段どおりの使い方でよいか相談が必要です。検査や手術の前にも調整が必要な薬があるため、受診先には薬の一覧を共有してください。

GLP-1受容体作動薬を、適応に沿って選ぶ。

当院ではGLP-1受容体作動薬による糖尿病治療に対応しています。GLP-1は、食事に反応して分泌されるホルモンの一つです。その働きを利用し、血糖が高いときのインスリン分泌を促すなどして血糖を下げます。インスリンそのものを補う薬とは役割が異なります。

注射薬のほか、内服する製剤もあり、使用する間隔や方法は薬によって異なります。血糖、体重、食欲、腎機能、併用薬、生活のリズムを踏まえて選択します。「新しい薬だから全員に適する」ということではなく、治療の目的と負担を確認して相談します。

始めるときに確認すること

消化器症状やこれまでの病気、他の薬、妊娠の希望などを伺います。使い方、増量の進め方、飲み忘れ・打ち忘れ時の対応は、処方された製剤に合わせて説明します。

続けながら確認すること

吐き気、嘔吐、下痢、便秘などが起こることがあります。食べられない状態や脱水、強い腹痛が続く場合は早めに連絡してください。インスリンや一部の薬との併用では低血糖にも注意します。

このページは糖尿病治療としてのご案内です。体重を落とすことだけを目的に薬を選ぶのではなく、必要な栄養や筋力を保ち、合併症と生活の質を含めて治療を考えます。GIP/GLP-1受容体作動薬など作用の異なる選択肢もあるため、ご自身の薬の名前と役割を確認しましょう。

リブレで、血糖の「点」から「流れ」へ。

当院ではFreeStyleリブレを用いたグルコース測定にも対応しています。腕に装着するセンサーで日々のグルコースの変化を記録し、食後の上がり方、夜間の低い値、活動との関係などを診察で振り返ります。HbA1cだけでは見えにくい変動を把握するための方法です。

食事と活動との関係を見る

食事の時間や内容、歩行などの記録と合わせ、どの場面で上がりやすいかを確認します。一回の数値を責めるのではなく、次に試せる具体策を考えます。

低い時間帯を見逃さない

夜間や活動後などの傾向も確認します。目標範囲内にいる時間や、低い・高い時間の割合を参考にしますが、目標は年齢や治療内容に合わせて個別に決めます。

データから治療を調整

受診時に記録を共有し、食事・運動・薬の組合せを見直します。機種や使用方法、スマートフォンの対応、費用・保険の条件は導入時に確認します。

合併症対策は、血糖以外にも目を向けます。

当院では、血糖の管理と並行して、血管や睡眠を含む合併症・併存疾患の評価にも力を入れています。検査を一律に増やすのではなく、現在の状態、治療歴、症状、他院で受けた検査を踏まえて組み合わせます。

腎臓:尿と採血を組み合わせる

尿アルブミンなどの尿検査と、クレアチニン・eGFRなどの腎機能を確認します。尿に変化が少なくても腎機能が低下する場合があり、両方の経過をみます。

目:眼底撮影と眼科専門医の読影

当院で眼底写真を撮影し、眼科専門医が糖尿病性網膜症などの所見を確認します。写真での確認に加え、眼科での定期診察・必要な精密検査も続け、結果を共有して治療につなげます。

眼底検査の流れを見る →

神経と足:痛くない傷にも注意

しびれ、感覚の低下、足の皮膚や爪、傷、血流などを確認します。赤み、腫れ、水ぶくれ、傷がある場合は、痛みがなくても早めに相談してください。

心臓・血管:複数の危険因子を管理

血糖だけでなく、血圧・脂質・喫煙・体重なども確認します。循環器内科とも連携し、症状やリスクに応じて心臓・血管の評価を検討します。

頸動脈エコーで、動脈硬化の状態を評価。

首の動脈を超音波で観察し、血管の壁やプラーク、狭くなっている部分などを確認する検査です。当院では、糖尿病の経過や動脈硬化のリスクに応じて頸動脈エコーを検討し、血圧・脂質などの治療方針を考える材料にします。

放射線を使わず調べられますが、心臓や全身の血管すべてを直接確認する検査ではありません。結果が正常でも心筋梗塞や脳卒中の可能性がなくなるわけではなく、全員に同じ間隔で繰り返すものでもありません。所見と診察を合わせて、必要な追加検査や紹介を判断します。

睡眠時無呼吸(OSA)も、見落とさない。

いびき、睡眠中に呼吸が止まる、朝の頭痛、日中の眠気などがある場合は、睡眠時無呼吸の評価も行います。OSAは糖尿病や高血圧などと併存することがあり、血糖以外の体調や生活の質を考えるうえでも大切です。

当院では症状と背景を伺い、簡易検査や必要に応じた精密検査へつなげます。診断された場合は、重症度や状態に応じてCPAPなどの治療を相談します。OSAへの治療が糖尿病そのものを治すわけではなく、糖尿病の治療と両方を継続します。

睡眠時無呼吸の検査・治療を詳しく見る →

低血糖とシックデイへの備え

インスリンや一部の薬では、冷汗、震え、動悸、強い空腹感、集中しにくさなどの低血糖症状が起こることがあります。症状への対処、携帯する糖分、連絡する目安は、あらかじめ主治医と決めておきます。意識が悪い、飲み込めない場合は、口から食べ物や飲み物を無理に与えず救急対応を求めてください。

発熱、嘔吐、下痢、食事が取れない日は「シックデイ」と呼ばれ、血糖が高くなることも低くなることもあります。薬によって調整方法が違うため、全部を同じように中止してはいけません。特にインスリンが必要な方は自己判断で中断せず、症状、食事量、測定できた血糖値を伝えて相談してください。

よくある質問

一度薬を始めると、ずっと同じ治療ですか?

病型や経過によって治療は変わります。薬を減らせる場合も、追加が必要になる場合もあります。自己判断ではなく、検査と生活の変化を確認して調整します。

甘い物を食べたことが原因ですか?

糖尿病には遺伝的な体質やさまざまな背景が関わります。一つの食品だけを原因と決めつけず、全体の食事と体調を整理することが大切です。

Your Visit

診察・検査の流れ

  1. 01

    暮らしを伺う

    健診結果、服薬、食事・活動・仕事など普段の生活を確認します。

  2. 02

    血糖と全身を評価

    血糖・HbA1cに加えて、腎機能など必要な検査を相談します。

  3. 03

    目標を決める

    年齢や持病に合わせて目標を共有し、食事・運動・薬を組み合わせます。

  4. 04

    続け方を調整

    低血糖や体調の変化を確認し、合併症の検査にもつなげます。

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